産経新聞で始まった「Web 面」に期待

世界のニュースから長野市の天気予報までウェブに頼っている私だが、宅配の新聞を今でも取っている。

購読しているのは産経新聞だ。──ここで産経の政治的スタンスを云々するのはちょっと待ってほしい。新聞社の政治色だけが新聞選びの指標ではないからだ。実際、私が購読紙を選ぶ際に最後まで候補に残した 3 紙は信濃毎日新聞北海道新聞、それに産経新聞だった。信毎と道新を最終候補に残したことから見ても、政治色で新聞を選んだのではないことが分かってもらえると思う。それに、産経を購読し始めた頃の私はノンポリで、政治面は読まなかったくらいだ。

閑話休題。その産経新聞で、今日から「Web 面」が始まった。1 面の下のほうに Web 面スタートのお知らせが囲み記事で載っている。今日の甲信越版(全 26 ページ)では 12 ページが Web 面となっている。


まずはテレビ欄を見ていただきたい(画像クリックで拡大)。

7/30 産経新聞テレビ欄

7/30 産経新聞テレビ欄 ニコニコ動画枠

テレビ欄に「ニコニコ動画 12 時間ぶっ通し生放送」の欄があり、紙面下部にはドワンゴの広告が掲載されている。

12 ページの Web 面はこんな感じだ。

7/30 産経新聞 Web 面

ツイッターの解説記事から女子大生ブログ炎上、ハルヒの「エンドレスエイト」までが並ぶ紙面を眺めていると、何だか不思議な気分になってくる。でも今後は、ウェブの流行を新聞が解説することは極めて普通のことになるだろう。

現在の大手新聞社で、ウェブや IT のノウハウを最も蓄積しているのは日本経済新聞社だ。産経新聞社はウェブ方面では後発組だが、「産経新聞 iPhone 版」を無料で公開したり、「ウェブ・ファースト(新聞紙面に載せた記事だけを後からウェブに上げるのではなく、先にウェブに記事を公開するという方針)」の理念で MSN 産経ニュースを運営したりと、ウェブと紙媒体の新聞の共存について真剣に取り組んでいるようだ。

現時点では、これらの取り組みで売り上げが増えているということはなく、むしろ「ウェブ以前」と比べて売り上げは落ちていると聞く。これが MSN 産経ニュースや iPhone アプリのせいなのか、時代の流れなのかは分からないが、積極的な施策でウェブとの折り合いが上手くついて、収益化できることを期待したい。

IT 業界に身を置いていると、やれ「紙の新聞は使命を終えた」だの「マスゴミは解体すべし」だのという声がよく聞こえてくるが、ニュース配信媒体としての今のウェブは、紙媒体の新聞と大手マスメディアあってこその存在だろう。遠い将来のことは分からないけれど、しばらくの間は紙の新聞とウェブサイトがうまく共存共栄してくれることを私は願っている。

今の産経新聞に言いたいことや不満な点はいくつもあるけれど、今回の Web 面スタートについては興味深く見守ってゆきたい。そして、これらの取り組みが実を結ぶ日が近いうちに来ることを願います。

追記 (2009/7/30)

Web 版は毎週木曜日に掲載されるそうです。