エンジニアの未来サミット 私的不完全議事録

エンジニアの未来サミットに参加してきました。第一部「アルファギーク vs. 学生──エンジニア業界の過去・現在・未来、そして期待と現実」のパネラーと学生さんの発言をできるだけ記録したので、自分用に公開します。

ただし、言い回しは完全に再現していません。また、拾えなかった発言もたくさんあります。あくまでも参考程度にしてください。もし明らかな間違いにお気づきの方は、コメント欄にて指摘していただけると助かります。
◆学生さん

  • 名大 M2・A さん(大手 SIer 内定)
  • 一橋 B4・Bさん(学生起業)
  • 芝浦工業大 B3・Cさん・Dさん(就職活動中)

◆発言ダイジェスト

来場者の年齢: 25〜29 歳が最多、35 歳以上は 9%

よしおか氏による IT の分類
対象ドメイン: 基盤系技術、エンタープライズ系、ミッションクリティカル系、ウェブサービス系、組み込み系……
ビジネス形態: ソフトウェア製品開発・販売、SI(受託開発)、コンサルティング、運用サービス・サポート、Webサービス……

弾「異種格闘技ですね」
ひが「SIerエンタープライズ系の会社だが、自分は自由に何をしてもいい。オープンソース活動をやってる」
よしおか「ソフトウェア製品開発・販売、基盤系技術のプログラマ
直也「Web サービス×Web サービス、独立系。はてなの前は大手 ISP で、作り方が違っていた。協力会社さんに設計図を渡して書いてもらったりしていた」
にぽたん「Web を主にやっている。データセンター、インフラなども。Web 系受託開発をやっていた時期もあった。今は減っている」
弾「組み込み以外全部やった。現在は強いて言えばコンサルティングだが、手を動かすのでコンサルじみてないかな。人様が手をつけていないけれど手をつけないといけない分野をやっている」
弾「泥のように働く、とは?」
にぽたん「はてなキーワードはどうなってる? 泥 = 薄汚い、小汚いイメージ」
(画面にはてなキーワードの解説ページが出る)
にぽたん「自分は肉体労働をしたこともあるので、泥のように10 年働けと言われればできる」
弾「泥より 10 年のほうが問題」
直也「@IT の記事が『泥』を強調しすぎる。技術よりも業務知識を知るために必要な下積みが 10 年だと言いたかったのでは。あと、若い人が自分の能力をすぐに発揮したいのに……という思いで論争になったのでは。自分もそうだったが、実際にやってみるとそうはできない。方法論を覚える必要、大規模な開発ノウハウの欠如。ただ 10 年は長いかとは思う。常識的な内容だったとは思うが」
よしおか「重鎮が不用意な発言をしているのが困った。IT 業界を十把ひとからげにしている。メディアは面白おかしく書くのが仕事だから、もう少し慎重に発言してほしかった。若い人たちに言いたいのは、オープンソースの開発は技術力を高めるためによい。学生時代から OSS に関わるという積極的な戦略はアリ。会社でうまくいかなくてもしたたかにやって、自分で勉強する手もある」
ひが「話し続けるパワーはすごい」
弾「それを言おうとしていたんだ(会場爆笑)」
D「リアルな話は分からないので質問しづらかった。泥のように働く(必死に働く)のはつらい? 他業種(営業など)は必死に働いてない?」
弾「泥のように働く = その間は陽が当たらないよ、評価もされないし給料も上がらないよ、ってこと」
C「泥発言が注目されたのも、この業界が注目され始めたからこそ」
B「IT だけなの? 銀行、商社もそうだと思う。IT も泥だけどみんな泥」
A「どこも泥のように働くのか。ドクターコース→ニート(ポスドク問題)。自分も朝起きたらネットで論文を読むのも、もしかして泥? 自分は楽しんでやってるけど」
弾「論文は人に見せるため。泥の外に出す仕事なので、泥とは違う」
A「会社に評価されずに『大学で遊んでたの?』と言われる可能性も。就職できない」
弾「35 歳定年説。大学卒業→10 年泥で 32 歳。陽が当たるのは 3 年? 10 年泥の中にいたひがさん?」
ひが「泥の外とかよくわからない。自分は 35 を過ぎて外に出た。35 歳定年説なんてどうでもいい。管理職になって単価の高い作業が必要なので、というのが一般的な考えだが、プログラミングに価値を与えてれば何歳でも」
よしおか「人のせいにしてはいけない。自分の人生は自分で生きる。法律で決まっているわけじゃないから、やりたければやればいい。dis られても自分でこういうほうがいいと思えばやる。それ以上でもなければそれ以下でもない」
弾「逆に若くから陽が当たっていた直也はどのくらい泥があった?」
直也「入社 1 年くらいは泥というか下積み。自分のプログラムに陽が当たったのは 3 年目。いつまで陽に当たっていたいか? できる人は問題ないが、いわゆる平均的なプログラマは 35 歳くらいが気になってしまう。自分は 25〜27 のときに 35 歳定年説を聞いて愕然とした。今は管理の仕事が増えてきたが、嫌ではない。30 を過ぎると後輩ができ、彼らの力を借りることで自分だけではできないことができる。管理職になるのも悪くない。無自覚に 35 になって管理職になると、面白くない、幸せでない。35 までに自分が何ができるか、自分は何が面白いかを自覚したほうがいい」
弾「泥大好きなスッポンとしては?(とにぽたんに振る)」
にぽたん「大好きってわけじゃないけど……。最初は別業界で働いていた、Web デザイナ→センスがなくてプログラマに逃げた。プログラミングが面白すぎた。下積み時代があったからこそ今がある。今でもコーディングが楽しい。某 SIer 若手と一緒に仕事したとき、彼らがまだ 20 代後半なのに『もうコード書くのはイヤだ、上流に行きたい』と言っていた。彼らのような人たちが 35 歳定年説を言い出したのでは。コードを書きたくない人は 35 で exit することを考える」
よしおか「受託開発だと、コードが発注者に行ってしまい、自分のものにならない。OSS なら自分のものとしてアタッチできるので違う。商品としての Oracle エンジンの小さなコード辺であっても、自分でアタッチできるからモチベーションが違う。(Six Apart の)宮川さんも同じようなことを言っていた。受託との違いはそこにある」
弾「泥のように書いたコードは会社のもの?」
よしおか「そう」
弾「コードは自分のものって感じはある?」
B「特にないが、別になくてもいいかな。コードに興味はない」
弾「かなりショックを受けている。CTO ですよね?」
B「やりたいことのためにコードを書いているので、コードは他人が書いてもいい」
弾「ここに CTO 経験者は自分を含めて 4 人いるが、コードを書かなくていいというのは初めて」
直也「わが社でもコードに関心があるエンジニアとサービスに関心があるエンジニアがいるが、CTO ならコードに興味を持った方がいいのでは」
弾「製品を見たい? 製品を構成する部品を見たい?」
A「製品よりは、自分の技術で社会に貢献したい」
弾「自分の技術とは具体的には?」
A「はてなインターンに参加して、自分の技術はあまり貢献できなかった。社会に貢献したいという漠然とした考えではだめだと思った」
C「就職活動中ということもあるし、ものごとをあまり細かく考えたこともなかった。今先輩(A さんと B さん)がおっしゃったように、自分の作ったものが使われているのを見ると満足。アルバイト(サービス業)でお客さまに『ありがとう』『おいしい』と言われると嬉しい。プログラムは苦手なのでコードでの例はまだ……」
D「製品を見ていきたい。プログラムは顧客のニーズを解決する手段だと思う。コードだけに興味をもっていてはダメで、製品やプロセスを作るのが自分に合っている。それには人が大切。プログラマの力を借りる上でプログラムを知らないといけないので、今はプログラムを勉強している」
弾「コードは iPhone の加速度センサーみたいなもの。美人の顔の下には筋肉も骨もある」
直也「この技術で何ができるか、この技術で今までできなかったことができるようになる、というのを、技術を知らないと考えられない。技術を知っているからこその発想がある。そういうのはやりたいのか、それでもプログラムには興味がないのか」
D「コミュニケーション手段という言葉はマズかった。技術を知らないと作れないものはあるが、知っているからこそ限界が見える」
よしおか「いや、それはない。何かができるかどうかはやってみないと分からない。限界を決めているのは自分。大人は『そういうことはないよ』と若者の背中を押してあげないといけない。弾さんも背中を押しているつもりだが、伝わっていない(会場爆笑)。こういうサービスを作って『すげー』と思われないといけない。そういうハッカーがたくさんいる社会を作りたい。そうすれば東京駅界隈(suno88 注: このサミットのこと)に200人も集まらなくてもよくなる」
A「自分はコンピュータ言語が好きで、ちょっとやってみようと思って作るとそれが製品になっている。外から『泥のように働け』と言われるのは不快」
弾「それができているのがアルファギーク?」
A「だと思う」
弾「コードをオープンソースにしたことは?」
A「あります。JavaScript2ch ブラウザ。サービスもコードも出している(git hub)」
弾「学生のうちに注目されて……というのはある。最近の有名な OSS プログラマは学生のうちに注目されてアルファギークになる例もある。学校にも行っていない台湾の Perl プログラマ(女の子)は IRC で英語を覚え、仕事が回ってきている。泥の段階をすっ飛ばしている」
A「コードを書くのが好きというのはいくらでもいるが、実際に好きなことをやっているのがコードというのは自分くらい」
弾「自分は嫌いなことを避けているうちに今やっていることが好きになって……というパターン」
にぽたん「アルファギークの定義は? 超人みたいだよね。弾さんの『(小飼弾の)アルファギークに逢ってきた』出版の縁で今日はここにいるが、自分をアルファだとは思わない。アルファギークになるまでの過程はいろいろあっただろう。直也さんも自分のコードを外に出しているうちに周囲が直也さんの事をアルファギークと呼ぶようになった。あの本の人はみんな地道に努力をしてきたのだろう」
弾「泥の中にいることを気にしない人が多い」
ひが「泥から離れましょう」
弾「陽の当たらない、世間から注目されないフェーズがあるが」
よしおか「多くの人は SIer に入ると受託を延々とやらされるが、ひがさんはそういう業務をしつつ自分でフレームワークを作り、会社に認めさせて会社のビジネスにし、好きなことをするように自分で仕向けた。その戦略、戦術は参考になると思うが、どうか」
ひが「Seasar を出す前は普通の人。自分はプログラミングが好きで、人の管理は好きじゃなかった。会社の評価もよくなかった。丸投げ案件をやっている SIer は今後死滅する。設計者がコードを書かないと、コードを理解できないといけないということは言い続けてきた。コードを知らない人の設計はダメ、コードを書ける人を増やさないといけない。Seasar を出して自分はコードを書けることを会社にアピールしたのが、自分が自由な立場にいられる理由」
よしおか「人に言われてやるのではなく自分でやるのが大切。多くの人は手を動かさずに思うだけ。手を動かしてもたいてい失敗するが、たまたまうまくいったのがひがさん」
弾「運がよかっただけでは」
よしおか「でも宝くじを買わなければ当たらない」
弾「宝くじはオッズが分かっている」
よしおか「でもやらなきゃ。ここにいる 200 人はわざわざここに来たという奇跡。自分で来た、上司に言われて来たのではないのが奇跡。そういう行動を積み重ねていけば、いつか今の自分になる」
弾「こんなの聞いてるヒマがあったら手を動かせというのもひとつの意見だが、我々がおせっかいなことを言う意義は?」
ひが「SIer にいてプログラミングが結構好き、でも管理職へのキャリアパスが敷かれているのは気に入らないという人は結構いると思うが、OSS などで世の中に認めさせる最初の一歩を踏み出さないと人生は何も変わらない。それには OSS が最適」
弾「実は OSS はマネージャが不足気味。今このコードが足りません、というときに、そのまま放置されることがありがち。マネージャが大切」
直也「マネジメントは大切。技術者がまっとうに技術を生み出すにはマネージャの存在は不可欠。両方の存在が必要。こういう席では 35 歳定年説は否定されがちだが、マネジメントがうまく回っているときはエンジニアが生き生きと仕事ができる。マネジメントに技術力があることが重要。技術力がないと判断できない」
よしおか「経営とかマネジメントの重要性を理解する必要がある。プロフェッショナルとしての経営者を重要視しないといけない。技術者と管理者は車の両輪。技術を金に変えるという面ではこの業界は素人が多い」
A「会社に OSS を作ってアピールしたのは泥から抜け出すためか。マネージャが理解してくれなかったためか」
ひが「会社の中にいると自分の名前が外に出ないので、フィードバックが少ない。OSS にすればフィードバックの可能性が広がる。会社が最初から認めていても自分は OSS が好きだし OSS が世界を変えていくと思うので、SeasarOSS にしていたと思う」
来場者 1「OSS で会社の雰囲気は変わったか」
ひが「変わった。実際に、今年から半年の新人研修でコードを書けるようにしている」
来場者 2「就職までにコーディングの体験がなく SIer に行ってしまう人が多いのが問題だと思うが、その対策については」
よしおか「対策はない。自分の人生は自分で生きろよと思う。自覚して就職しようよという話」
直也「弾さんもよしおかさんも個人責任論を語りすぎだと思う。自分も内定をもらってからプログラムを書き始めた。勉強はしないといけない。プログラムが書けなかったので自分は毎日勉強をしていた。勉強の時間がない人は思い切って会社を辞めてみたら。意外と辞めてみると大したことはない」
よしおか「企業にとって、その人の生産性を最大化するのは会社のミッション。経営者が馬鹿だったら人月どうこうになる。そういう会社に入らないように動物のカンを鍛えろ」
suno88「SIer で新入社員が入ったばかりのうちは『この会社のやり方、ヘンだよね。自作フレームワークで DB からデータを何でも文字列で持ってくるなんて、Java じゃなくて COBOL じゃないの』などと言っていても、数年経つと足におもりを付けられた象のように大人しくなる。あの頃の情熱はどこへ行ったのか。なぜそうなるのか理解できない。SIer というビジネスモデルが会社にとって旨味のあるものなのか。会社が黒になっていれば経営者はそれを変えようとは思わないだろうが、会社のビジネスモデルに技術者がやられてしまうくらいに人月モデルは強力な破壊力があるのか」
よしかわ「それは簡単なこと。何も考えなくても、A ランクの人は 80 万、B の人は 70 万。そこに自助努力や競争はなく、空きがないように詰めてやる。それは経営の責任。そういうビジネスが今後続くかというのがひがさんの危機意識。SIer はそれじゃまずいだろうと。自分のウリを持っていないと単価が安いところへガンガンやられる。ぬるま湯は気持ちいいからという麻薬的な感覚じゃないのか」
ひが「そうだと思う。SI 業界のピラミッドの一番上の人たち以外はとても苦労している。ブラック企業と言われる人たちは一番下だと思うが、そういう会社は辞めるしかない。一番上の SIer にいればいいというわけでもない。ブログで『今後 SIer の給料はどんどん下がる』と書いたことがあるが、今の SIer は皆横並び。差別化する要因がないから価格競争に巻き込まれて単価も売上も下がって行く。今の SIer は『下流志向』と言うと変だが、上から下までトータルでできる所が強くなるし、付加価値も出せる。そういう方向に向かって行かないといけないと思う」
弾「SIer は日本の言葉。僕は未だに SIer とか SE という言葉がよく分からない。昔は全部一社でやっていたのに、いつの間にか外注を使うようになった」
ひが「自分の頃にはすでに SIer というのがあった。ひとつは雇用の問題。日本の雇用の問題で、一度雇った社員は滅多にクビにできないが、開発は波があるので社員として囲うのは辛い。下請けがあるのは雇用形態のせい」
弾「建築業界もそう。下請け孫請け四次請けといえば建築業界を思い出す。なぜ土木に似ているか」
ひが「公共事業的なものに似ている」
弾「昔、DEC は配置転換をやっていたようだが?」
よしおか「起業は利潤を上げるために存在する。利潤を最大化するためには、人件費をいじりたくなる。人件費を削り始めると負のスパイラルにハマり、会社がヤバくなると、いうのは教科書的な説明。日本に限らず儲かっている限りは人を切らなくてもいいので……なんでこういう質問になったのか」
D「中国やインドが注目されているが、こういう問題(下請け)は中国やインドでは起こっていないのか」
弾「みな一次請けで終わってしまう。一次請けの会社が大きい(数千人規模)ので、それ以上下に行かない」
D「今後はこういう問題はインドや中国にも起こりうるのか」
よしおか「未来のことは分からないが、技術に対してどのくらい真面目に取り組んでいるかということだと思う。技術力で解決するのではなく下請けに投げたり、技術に対するリスペクトやインセンティブがなかったりすると技術力は蓄積しない。オフショア先の人たちは自分たちの技術に誇りを持っていて、どうやって技術力を高めていくかを真剣に考えている。日本の SIer は本気で戦わないといけない。技術で解決するか下請けに出すか、どっちが強いかは決まっている。My job went to India になってしまう。繰り返すとおり経営の問題」
D「日本に足りないのは技術に対するリスペクトや技術に対する意欲か」
よしおか「価値があるということを認めさせるギークも少ない」
D「やっぱりスーツ側の問題なのか。ギークがアピールする環境はあるのか」
よしおか「環境の問題ではない」
D「ぬるま湯に浸かっているからか」
よしおか「そうだ。こういうことを言うとすぐに『マッチョだ』と言われるが(爆笑)、したたかに自分の半径 5 メートルからやるしかない。それをやっていけば幸せな社会になるかもしれない。今が嫌だと思うのなら自分でやるしかない」
弾「製造業は純粋に人の手の数で決まる。ソフトウェアはそうではない。自分も中国に子会社を作ったことがあるが、優秀な社員を集めたつもりでも日本と生産性は 200:1 くらいだった」
C「(質問を振られて)別の質問をしようと考えていたので……。中国の話は長くなりそうなので(爆笑)。団塊の世代が退職しているが、少子化でピラミッド構造が崩れることはないのか」
弾「バブル期に会社を作りすぎた」
よしおか「弾さんが訳の分からないことを言ってるから……(爆笑)。これはチャンスだ。30 年前からコードを書いている人がいて、そういう人たちが卒業していく。でも技術の根底はあまり変わっていない。退職した人が OSS にコミットしてくれればそういった人たちの持つ技術を学べるチャンスだ」
弾「僕はそうは思わない……(いいからやめとけ、と周囲がたしなめるのを逆に制して)いやいや反論させていただく。彼らの知識はいいことばかりではない。unlearning のチャンスを失うことではないのか」
よしおか「RDBMS の作りは 30 年前とはほとんど変わっていない」
弾「それによる欠点も引きずっているのでは。そういう常識を学ばないことがいいこともある」
(しばらく弾 vs よしおかの口論で会場も Ustream のコメントも大いに盛り上がる)
B「よくわからないので言いたいことをしゃべりたいのですが(爆笑)、IT 業界に盛り上がってほしいのに、自己責任と言われると IT 業界が盛り上がらないのでつまらない」
直也「自己責任がイヤならいい会社を選べということになるが」
B「友人の話だが、就職情報サイトなどにない情報は取れない」
直也「情報の取り方が分からない?」
B「はい」
直也「一番いいのは淘汰だ。ブラック企業には学生が入らなければいいが、そうなると自己責任になる。学生はその辺をどのように考えているのか教えてほしい」
D「離職者が多い。3 年以内に辞めるのは 36%。何が悪いのかというと、辞めたあとの話。『今合ってないからやめよう』でその後のビジョンがない。自己責任も大切だが、自己分析能力。自分に何ができるか分かってない。自分に何ができないかを知らないのが問題」
弾「そうかな〜。俺、自分の事全然分かってないけど」
D「弾さんは野生のカンでできていると思う」
直也「自己分析ができないと、っていう話になると自己責任論になる。僕はおもしろい会社をたくさん知っている。そういう会社に学生さんにたくさん入ってもらって、そうでない会社は淘汰してもらうのが僕のミッション(拍手)。学生はどういう会社が面白いと思うのか、どういう情報が欲しいのかを教えてほしい」
A「はてなは 3K ではない。インターンに行って分かった。ゼネコン構造を変えるのは起業するしかない(Google など)。日本は新規の起業に優しいのか」
B「そんなに厳しくはなかったが、選択肢を知らない人は知らないし、知っている人は知っている。自分は起業サークルにいたので周囲に起業者がたくさんいた」
A「日本は大企業に力がある。規制が強い。小さい起業を促すのは規制緩和
弾「日本って本当にそうなの? 自分は楽だった」
よしおか「小さい会社のほうが大変。官公庁の仕事は大手ベンダーが親請けになるのも事実。自分の会社をどうしようと考えると、環境のせいにしていてもしかたない」
D「某就職サイトのインターンに昨日まで行っていた。就職情報を見ても、どこが魅力的かなんて分からない。文章での差別化は難しい。人対人、仕事現場を見せるのがいい。インターンは大切。特に技術系は腕を見せる」
よしおか「おっしゃるとおり。小さい会社が大企業に対抗するにはインターンを取ること」
弾「紙に書けることはウェブに載せればあとは放置でいいと思うが……あなたは『どの会社で働きたい』なのか、『誰と働きたい』なのか」
ひが「ブログで『自分はこういう会社で働いている』というのをアピールしたりすることによって学生に知らせることができる。自分も外に伝えてほしいという会社の希望もあって自由にやらせてもらっている」
来場者 3「下請け多重構造を変えるにはどうしたらよいかをもう少し伺いたい。一社だけなら他社に移ればいいが、業種として変わらないのであれば将来に希望を持てなくなる。そういう SIer のほうが社員数としては多数派なので、そこから変えていかないとまずいのではないか」
ひが「SIer の立場から言うと、構造のトップにいる SIer は潰れてしまえと思っている。自分の会社に対しても、もっともっと技術力をつけましょうと会社を変えていっている。そういう努力も必要」
よしおか「SIer が 35%、ソフト開発が 27% で、多数派がハッピーにならないと。半径 5 メートルから変えていかないと。うまくいかなければ電通国際に行くとかして淘汰されるのかな」
弾「転職する前に、何で自分でやらないの? というのが率直な感想。会社なんてない時代から先祖はちゃんとやっていた。僕らはその子孫。会社がダメならやめればいいし、経営者なら潰せばいいじゃないか。日本の業界をどうの、というより、まず自分をどうにかすることの積み重ね。日本を語る前に自分を語れ」
にぽたん「マッチョな意見ばっかり出てきちゃって腑に落ちない残糞感のようなものが(爆笑)。不満を持つ SIer が多いと思うが、自分の売りに気づかない人は売りを見つけて会社に働きかける勇気を」
(しばらく Ustream のコメントに「残糞感」が大量に流れる)
直也「学生の意見が面白かった。結構ステレオタイプな情報で毒されているのを変えないと。自分のできることは自分の産業を大きくして、たくさんの人に来てもらえるようにすること」
よしおか「最終的には自分の人生は自分で決めるしかない。東京という場所はメリットがある。IT 勉強会など、インターネットで情報がいくらでも取れる。今日のイベントもそう。Ustream で試聴できる。自分で変えられる可能性に満ちている。インターネットのおかげで青い空が広がっている。自分の人生は自分で決めようよ」
ひが「まずは行動しよう。自分も行動しようと思う。学生に本当の姿を伝えるのはどうすればいいか。今後月一でひがやすを飲み会をブログで告知する。学生に限らず来てほしい。月初めに告知するので参加してほしい(会場から拍手)」
D「白熱していたので第 2 ラウンドが居酒屋になるのか。最初のほうは言ってることが分からないところもあったが、徐々に学生視点の話になったので楽しかった。企業側にも改善にてほしい」
C「言いたいことをほとんど言われた。(入社試験に)落ちても同列の会社でインターンするとか、自主的に行動するのが大事。お互いが歩み寄ることで就職も活発になると思う」
B「自分がちゃんとしなきゃ。技術が分かる経営者にならないと」
A「ゼネコン構造を変えるには、はてなのような小さな会社が動きやすくなるといい。B さんも新しい会社で下克上を目指してください」

(以上、敬称略)


最後に、私の質問に答えてくださったよしおかさんとひがさん、どうもありがとうございました。

追記 (208-10-01)

はてなダイヤリーを開始以来、初めてコメントをいただき、スターをつけてもらい、ブックマークしてもらって「注目のエントリー」入りし、さらにははてなポイントを 2 人からいただきました。盆と正月とクリスマスと教育休暇が同時に来たような感じ(意味不明)で舞い上がっています。皆さん、どうもありがとうございました。

ニコニコ動画にイベントの動画がアップロードされたのを機に、私の質問とそれに対するよしおかさん、ひがさんの回答を載せました。