山賊焼を作って松本暮らしを思い出す夜

長野県中部の山岳都市、松本市には、「山賊焼」と呼ばれる郷土料理がある。下味をつけた鶏肉に片栗粉をまぶして揚げたもので、松本市内には山賊焼を食べさせてくれる定食屋がたくさんある。また、スーパーの惣菜コーナーに行けばたいてい売られている。松本市民には馴染みの深い一品だ。

私は学生時代の 1993 年から 4 年間、松本に住んでいた。ひょんなことから急に山賊焼が食べたくなり、こんな夜中に作ってしまった。


まず、鶏もも肉に下味をつける。今回は醤油と酒と味醂を 2:2:1 の割合で混ぜたものにおろしにんにくを入れた。鶏肉は裏側に隠し包丁を入れ、味が染み込むようにした。

鶏もも肉に下味をつける

しばらく馴染ませたら、汁気を切って片栗粉をまぶし、油で揚げる。

片栗粉をつけて揚げる

揚がったら、トンカツのように切る。このとき、新聞紙や電話帳の紙をまな板の上に敷くと、後片づけが楽になるのでおすすめだ。

一口大に切る

あらかじめ用意しておいたキャベツの千切りを添えて、いただきま〜す。

できあがり!

私が松本に移住した 1993 年当時は発泡酒などなく、いろいろなビールが出ては消えて行った時代だった。その中で私が気に入っていたのは、サッポロの「焙煎」。織田裕二の「焙煎飲んだらまた焙煎」というテレビ CM を覚えている人もいるだろう。その焙煎が、数ヶ月前からコンビニ限定で復刻発売されている。今夜のお供は焙煎にしよう。

美味い

地方の大学生はたいてい大学の近くに下宿を構えるが、私は大学から 7.5 キロ離れた田んぼの中に住んでいた(地方学生の感覚では、7.5 キロは地平線の彼方)。ほかの学生が容易に転がり込めないようにとの考えで遠くの下宿を借りたのだが、その当ては外れ、私の手料理目当てに友人が頻繁に酒を持って上がり込むようになった。テレビもインターネットも、座布団すらなかった殺風景な部屋で、酒を飲みながら朝まで語り合ったのはいい想い出だ。

焙煎を飲みながら松本の郷土料理に舌鼓を打っていると、当時のことをしみじみと思い出す。思えば遠くへ来たもんだ、今では女房子供持ち、という歌が口をついて出てきた。

さて、もう 1 本飲むとするか。

【6/5 追記】

新宿で山賊焼が食べられる居酒屋があることを、Twitter 経由で教えてくれた人がいた。ちょうどこの週末は上京するので、日曜日に行ってみようと思う。おいしかったら、後日エントリーを起こしてご紹介します。