「勉強会カンファレンス 2009」私的不完全議事録


会場入り口のウェンディ

6/6 (土)に日本オラクル株式会社の青山本社で開催された「勉強会カンファレンス 2009 (metacon2009)」に出席してきました。議事録を取ったので公開します。例によって、拾えなかった発言や後から記憶で補完した発言があることをご了承ください。


午前の部

公式サイトのプログラムでは「勉強会のチュートリアル」と「ベストプラクティスのセミナー」の 2 セッションに分かれていますが、実際には通しで進められました。


PHP 懇親会の居酒屋プレゼン」 (LIND さん)

LIND さん発表のプレゼンテーション。gihyo.jp で「今こそ! 勉強会」を執筆されている方です。

  • PHP 懇親会とは?
    • おしゃれな隠れ居酒屋で参加者全員が 5 分の自己紹介プレゼンをする会
  • 目的
    • 第 1 回 PHP 勉強会の主催者の言葉「可能な限りリスナーではなく、スピーカーにもなれる人の参加を熱望します」
    • もっと勉強会で話してくれる人を増やしたい
    • 今まで話をしたことのない人でも話してもらえる、ハードルの低い会をとの思いで開催した
  • PHP 懇親会を創るレシピ
    • 会場
    • 集まるテーマを決める
    • 全員プレゼンが大事
      • 何が出るかお楽しみ、しゃべってみて何か発見がある
    • 懇親を深めるためには
      • 相手を知らなければならない
      • 5 分プレゼンで自分を知ってもらい、他の人のプレゼンで話すネタを探し、距離感を縮める
      • 席替え推奨
  • 質疑応答
    • プロジェクタは?
      • 有志の方に持ち込み。設置店を探す手も
      • 場所代、飲み放題で5千円でやっている
    • 告知について
      • PHP 勉強会の告知場所があるので、そこを利用して告知している
    • PHP を知らない人でも行っていい?
      • 興味があれば。自分のプレゼン資料に「PHP」の文字がないこともあるくらい
    • たくさん来過ぎてどうしよう、ということはあるか?
      • 30 人くらいでいっぱいの会場なので、最初は 20 人くらいで募集し、招待客を入れたり追加募集をかけたりしている


「あなたのメッセージで世界を繋ぐ TIMER」 (いがいがさん)

動画系組み込みプログラマのいがいがさんによるプレゼン。



まっちゃだいふくメソッド (まっちゃだいふくさん)

司会のおひとり、まっちゃだいふくさんが「5 分で作った」というプレゼンです。

  • 「まっちゃだいふくメソッド」とは?
    • 勉強会の休憩時にお菓子を出すことにより、意図的に人の流れを対流させて会話を作り上げることで、人々の交流を図る方法
  • (しばらくお菓子の写真が延々と流れる)
  • まとめ
    • 勉強会参加者は意外と甘いものが好き(特に男性が)
    • 会話が弾みまくる
    • 余ったお菓子は女子に
    • ブログに「美味しい勉強会」と書いてもらえる
    • ひとつのきっかけになってくれれば
  • 質疑応答
    • お菓子選びのポイントは?
      • お菓子に強い人を仲間に入れる。現場に行って試食してくれる人も
    • お菓子は現地調達?
      • 地のお菓子を出さないとおいしくない
    • 飲食禁止の場所では?
      • そんな場所は選ばない!


勉強会で使える笑いのテクニック (芸人社長さん)

まっちゃだいふくさんと一緒に司会を務められた、芸人社長さんによるプレゼンです。

  • 「お笑い勉強会」主催
  • お笑い勉強会とは? ──IT 系勉強会にインスパイアされ、「お笑い」というワードを軸に集まっている会
  • 「IT 関係なくね?」 ──気にしない
    • IT 系じゃない人も入れていこうという流れになっている
  • Fail Safe──笑いも勉強会も Fail Safe
    • 失敗を予想してピックアップし、対策を先に考えておく
    • PC 交換時や質問時など間が空いてしまったが、話すことがない──気にしない
    • 先に考えておく。その場でどうこうしようとしない
      • 発表者の話
      • 見えている物のことを話し、ツッコミを入れる(色など)
      • 即興アンケート・質問
      • 今の心境をそのまま言う (ex. 「なんかビミョーな空気だな」)
  • 勉強会で笑いを起きやすくするためには

    マトリックス
    1. 人数は? 属性と属性の笑いの特性は? 共鳴度は?
    2. 自分のキャラの理解度、自分への好意は? 心理状況はよいか? 笑いのギアはどのあたりか?
    3. 自分のキャラを把握しているか? 自分の戦力はどのくらいか? 心理状況はよいか?
    4. 人数は? 戦力の把握をしているか? 役割分担をしているか?
  • 笑いを誘うためには
    • 前説をする
      • 笑いやすい状態にする(アイドリング)
      • 自分だけ笑いづらい……を打破
      • 共鳴度を上げる(前のほうに座ってもらう)
    • 歓談をしてもらう
    • 質問をする
    • 一本釣り
      • 笑いを広げていく方法で、一人の人を見て話し続ける
      • その人が笑い始めると、笑いが広がっていく
  • 初めての人対策
    • 座る場所をグループ化(初めての人だけ集めて座らせる)
  • 質疑応答
    • すべったときは?
      • すべったときの対策も Fail Safe、自分であらかじめツッコミを決めておく


IT 勉強会カレンダーと募集ツール (はなずきんさん)

IT 勉強会カレンダーの管理・更新をされている、はなずきんさんのプレゼンです。

  • 見る人
    • 主催者・登壇者 (日程調整に・告知ツール)
    • 参加者 (たまたま東京に行く日に何かないか?)
  • 作る人 = 趣味
  • まっちゃ 139 勉強会で、勉強会主催者がたくさんいた。その場で出た話題
    • 日程を決めるのが難しい
    • 自分が参加したい勉強会とかぶると参加できない
    • 似た分野の勉強会がかぶると参加者が割れる
  • 3 日後に「IT 勉強会カレンダー」の最初のバージョンを公開
  • いろんな場所で、いろんな種類の勉強会があることが分かった
  • オンライン勉強会は、会場に行かなくても参加できるって素敵(地方の主婦として)
    • 夕飯を作りながら聴く。それを聞いた子供が「フィボナッチって何?」(会場笑い)
  • カレンダーに追加するネタを探すための巡回場所は以下のとおり
    • RSS リーダー
    • はてなアンテナ
    • ML 購読
    • 以下の参加登録サイトを手動巡回
      • 宴会くん
      • ATND
      • 告知's
      • Cotocoto
      • FLY8
      • アンケートツクレール
      • Google Form
  • 宴会くん
    • 誰でも消せるのが不安
    • 宴会コードは個別取得のため推測がつかない。チェックは無理なのでしていない
  • ATND
    • 住所を入れると地図を出してくれる、各種アンケート、申込者リストの CSV ダウンロードなどがいい
    • RSS も吐いてくれる(気づかなかった)ので新着チェックも楽
    • 知らせたいことをメール連絡できない(会場変更など)
  • 告知's
    • メールアドレスとハンドル入力で参加
    • 外部サイトにメールアドレスを登録するのが嫌な人には厳しい
    • 先着・抽選を選べる
    • RSS も吐いてくれる
  • Cotocoto
    • 関西圏では有名?
    • メールアドレス必須
    • 「時間があったら行ってみたい!」ボタンがある
  • FLY8 (フライヤー)
    • メールアドレス必須
    • パスワードを忘れたら作り直し
    • イベント ID は個別取得のため推測不能、チェックはしていない
  • アンケートツクレール
    • アンケートを作るためのツール
    • メールアドレス必須
    • 参加者の属性を事前に知れるのはいい。質問項目は 20 まで作れる
    • 申込者リストは CSV 形式でダウンロード可能
    • 登録ツールとしての使用はあまりないか?
  • Google Form
    • Google アカウント必須
    • 事前アンケートも取れる
    • 申込者リストは CSV 形式で生データ入手可
    • イベント ID はランダム
    • メールアドレスを非表示にしたとき、Google Mobile Proxy 経由で見るとメールアドレスが見える
  • まとめ
    • それぞれの特性を把握して使おう
    • 見落としがあるので、勉強会を開催する人は hanazukin+IT@gmail.com に連絡をください
  • 質疑応答
    • 企業(ベンダー)が技術者向けのセミナーを開く時に掲載してくれるのか?
      • 趣味なので、「行きたい」と思うものを入れているだけ。6 人のメンテナの心に響けば入れてもらえる(笑)


午後の部・「勉強会カンファレンス 2009」(よしおかひろたかさん)

このカンファレンスの狙い

  • 勉強会の価値を高めたい(暗黙知形式知へ)
  • 勉強会の価値をもっと広く知ってもらう方法論を議論したい(マーケティング)
    • 来ている人には届いているが、来ていない人には届いていない
  • 勉強会運営の革新を加速したい
    • 2 年前には Ustream はなかったし、3 年前はビデオを取ってインターネットに上げることもなかった
  • 勉強会主催者のネットワークづくりをしたい
    • 参加者同士の横の繋がりが新しい価値を生む

勉強会カンファレンス 2009

  • 参加者全員で創るカンファレンス
  • 勉強会主催者の皆さんの智慧を共有させてください
    • 主催者の皆さんは何かヒントを掴んで自分の勉強会で試してみてください
  • 勉強会の価値を社会へ発信しましょう
    • 半径 5 メートルから (会社の同僚、上司、部下)
    • 勉強会を知らない人々へ、知らない人に明示的に伝える努力をしましょう

IT 勉強会カレンダーの話

  • たった 1 年でこんなに育った
  • ある種、世の中を変えたと言える
  • 世界中にこんな地域があるか? 日本始まったな

勉強会勉強会のきっかけ

  • 素朴な疑問
    • 空前の勉強会ブーム(IT 勉強会カレンダー)。なんで?
  • 勉強会のライフサイクル。2 から 3/4/5 の分かれ目って何?
    1. とりあえず有志で集まる
    2. 面白そうだということで回数を重ねるごとに参加者が徐々に増える
    3. マンネリ、内紛、分裂、さまざまな問題にぶつかる(?)衰退へ
    4. 主催者がいろいろ苦労を重ねる(微妙な平衡状態)
    5. 特に問題もなく淡々を回数を重ねる
  • 勉強会の法則(動作原理)の解剖
    • 開催のメリット > 開催のコスト
  • OSC 2008 Tokyo/Fall でやったら盛り上がった

何を提供できるのか?

  • 勉強会の法則に対する理解を深める
    • 「開催のメリット > 開催のコスト」の公式が成り立てば勉強会は継続する
    • メリットは何か、どのように最大化するか
    • コストとは何か、どのように最小化するか
  • 勉強会の価値を明示化
  • 苦労話、楽しみ、悩み、喜び、運営の Tips などなどを共有する
    • 過去の経験から課題を抽出し、それを未来に繋ぎたい
    • 勉強会開催のコストを下げたい、共有化したい

カンファレンス参加者満足度の評価、KPI を定義したい

  • 情報の価値→何か行動を引き起こすこと
  • ブログに本日の感想を書いてもらう
  • 今日聞いた方法を試してみちゃった
  • 実際に勉強会を主催しちゃった
  • 知り合いに勉強会を勧めちゃった
  • 知り合いが勉強会を始めちゃった

伝説のカンファレンス

  • 参加者は勉強会の達人たち
  • 情報は公開が原則
  • 未来のいつか、この伝説のカンファレンスが誰かに発見される→今日の参加者は「俺、そこにいたぜ!」と言える

http://groups.google.co.jp/gbroup/metacon/ に登録しましょう!



午後の部・セッション 1「社内勉強会」(さとうようぞうさん)

進行役・さとうようぞうさん

  • 都内の携帯コンテンツ屋さん
  • 社内では技術職、なんちゃってリーダークラス。社内外のリソースをある程度コントロールできる立場
  • GenesisLightningTalks を主催

papanda さん「人が集まらない勉強会の果てに辿り着いた『新しい社内勉強会』」

ここに出てきたきっかけ: Twitter であまのりょーさんに声をかけられた

社内勉強会にありがちなこと

  • 人が集まらない
    • 忙しい、面白くない、定時後までやりたくない、興味がない
  • お互いに興味のない者同士の集まり
  • 周りの気温が上がるのを待っているほど人生は長くない→社内でデブサミをやる

社内版デブサミ

  • 自分たちで創るお祭り
  • 運営はボランティア

継続している(毎年 1 回)

社内版デブサミ = 空気を変える勉強会

  • 現場からやや遠い。現場でもがいている人々に対して、どういうことができるか
  • 去年 6 月、RubyKaigi の帰り道、「開発って楽しい?」という問いに Yes という答えが増えるように DevLOVE を結成
  • コンセプト = 開発の楽しさを発見しよう、広げよう。開発の現場を前進させよう

DevLOVE

  • コミュニティの活動経験をいかす
  • 運営自身も楽しむ
  • 現場を変えて行けるのは自分たち自身
  • 明後日ではなく、今日

DevLOVE の活動を広げたい→オープンソース化(社外勉強会化)

社内勉強会がなくなった→やりたい→人が集まらない

勉強会は主催者のエゴ

どうしたら参加者が「自分の」勉強会にできるか?

  • 勉強会はそれぞれで運営
  • 月 1 回集まってメタ勉強会
  • 新しい勉強会を創る。集まらないものはつぶす→「勉強会エコシステム」「勉強会コロニー」

やる意義は?

  • 楽しい
  • 失敗してもいい
  • 同じ経験談でも、聞き手次第で知恵が生まれる

社内にこだわる理由は?

  • 一緒にいる人といい仕事がしたい
  • 同じ屋根の下にいる人と一緒に強くなりたい

勉強会に込める願い

  • この場を作ったからこそ人が集まり、会話が成り立ち、経験が共有され、知恵が生まれる
  • 想像できない因果関係がどこかに生まれるんじゃないか
  • 勉強会参加者が勉強会を開催する
  • その勉強会参加者がまた勉強会を開催する
  • 変化は伝播する
  • たった一人に起きた変化がやがて世界を変える
  • 世界を変えるのは遠いどこかの誰かではなく、最初の一歩を踏み出した自分自身

質疑応答

  • 最初に声をかける規模は?
    • 周囲数人、来てくれそうな人を対象に声をかけた
    • 社内 SNS を利用
  • 社内勉強会を社外勉強会にしたときに抵抗はあったか?
    • 抵抗はなかった。むしろ、上司を巻き込むような動きを取った
    • 上の人は下の人が思っているほど冷たくない



ebacky さん「社内外のエンジニアを参加対象者とした勉強会」

勉強会については、よしおかさんや papanda さんを遠くから見ていただけだったが、やったら自分の意見が会社に通りやすくなるかな、という打算的な考えで始めた

登場人物……現場の人、管理者(上司)、経営者

  • やり方がマズく、管理者と 3 ヶ月くらい敵対関係になってしまった
  • 管理者は手間を掛けたくない、「明文化して経営者に話せるような資料を作れ」
  • リスクとコストを少しずつ埋めていった
  • 社外の参加者も巻き込みたい→上司「なぜ社外の人を? 他社の人を啓蒙する意味がない」
  • そこで社外参加者の名前を講師として書いた(講師17人!)→「お前、これはひどいだろう」(会場爆笑)
  • 意図が伝わった。講師も参加者も学べる
  • 上司とやりとりした際のリストを作ったが、「(このカンファレンスでは)見せちゃダメ」と言われた(会場爆笑)
  • やりたいことを具現化するための作業は諦めてはいけない
  • 後輩「これにかけてる時間、人生もったいなくない?」ebacky さん「俺もそう思う」
  • 管理者に理解させるのに時間がかかる→説得のやり方が悪いと気づいた
  • 管理者とのバトルをいまだに根に持っている(会場爆笑)
  • 経営者は若い人の提案を期待しているが、立場上やみくもに持って来られても困る→「いきなり持って来られても……組織ってそういうもんだろう」
  • 管理者を説得できるかがポイント
  • 自社の勉強会にこだわったのは、管理者や経営者の考えるリスクを取り除いたら、次から仕事の面でやりたいことを提案したときに「こいつは管理者の考えるリスクを考慮しているだろう」と思ってもらえる(だませる)から
  • ボタンのかけ違いに気づくことで問題が解決できることはある

    ex)自分は情熱で訴えるが、管理者はリスク回避をしてもらいたいと考えている
  • 自分で固執しているだけ? 本当の意味は?
  • 社内勉強会の意味はある。会社を動かすことで、会社の環境を変える。働きやすくなる。現場が変わる。とてもいいことだと思う

質疑応答

  • 一番手ごわかったボタンのかけ違いは?
    • リスクに対する考え方の違い。例えば、会議室に他社の人が来ると、自社の戦略や機密がバレると思い込んでいる。初めてのことをやるのにとても抵抗がある。やっていないことがリスクだと伝えよう
  • 「怠慢は罪」を上司に説得した方法は?
    • 他社で情報公開した勉強会をやっているが、自社は同じ土俵で闘っていけるのか? どう考えているのか? と質問を繰り返した
  • コスト面については?
    • ウチはあまりなかったが、会議室や電気利用の管理をしている人がいれば数字を出す。自分の場合は、「講師への謝礼はどうする」と言われた。有志でやっている、他社の人にとっては営業活動かもしれないから謝礼は要らない、と説得。就業時間外だということも伝える


kwappa さん「社内勉強会開催の成果と Tips」

  • http://www.kwappa.net/
  • コンテンツプロバイダ (自社開発)
  • 社員数約 100 人、エンジニア三十数名(2 チーム)
  • 社内では20名弱の開発チームのリーダー
  • 東京 Basic Technology 勉強会「とべとべ」を主催

概要

  • Ruby on Rails の教育が必要になった
  • 上司に申請→あっさり承認
  • 圧力もノルマもなかった。ラッキーな環境だった

実績

  • 毎週水曜日 19 時から 1 時間程度
  • 講師は持ち回り(お願いベース、時々立候補)
  • 全 16 回

データで見る成果

  • 出席率……熱心 43%、たまに 41%、無関心 16%
  • 講師担当回数……講師経験者 63%、うちリピート率 70%
  • アンケート回収率 57.9%
  • 1〜4 の 4 段階評価(1 が高評価)で、「役に立ったか」の平均点が 1.7、「また出たいと思うか」の平均点が 1.4
  • 熱意のある人とない人に二極化した

プライスレスな成果

  • 勉強する習慣がつく

    スキルアップ→チーム力アップ
  • コミュニケーションツール
    • 意外な適正や能力、意外な一面を発見
    • 弱点を発見

      克服を助ける→チーム力アップ

求められているネタ(アンケートから)

  • Ruby on Rails 入門
  • アルゴリズムとデータ構造入門
  • Web アプリのセキュリティ入門
    • 興味があるが未経験
    • おろそかにされている基礎
  • インフラ系

まとめ

  • 勉強会に勉強しに来る奴は素人
    • 行使をすることでの成長
    • モチベーションへのよい影響

まずはやってみよう

  • 意外と抵抗されない
  • 意外とみんなついてくる
  • 意外と楽しい

案ずるより産むが易し

質疑応答

  • 無関心の 4 割にはどう働きかける?
    • こんなことを言ったら叩かれるかもしれないが、放っておこうと思っている。主催者が楽しくないとつまらないので、楽しんで続けることを目標にと割り切ることにした


吉田茂さん「Tech Meeting 宣言〜あるいは如何にして私は社内勉強会を主催するようになったか?」

  • id:yshigeruhttp://twitter.com/yshigeru
  • 神奈川県内某電機メーカー(製造業)
  • 社員数 2000 人、ソフト屋 200 人
  • したっぱ
  • 会社の上層部は社内勉強会に理解を示してくれるもの。あとはやるかやらないか。最初の一歩を踏み出せば、案外スムーズに進むものです

  • 休職中、いろいろな勉強会に参加。社内でも勉強会をやりたいと思うようになった
  • 復職後、課長に許可を取る→あっさり OK
  • 去年の 12 月、若手にメールを送りつけ、隔週ペースでTech Meetingを開催
  • 世間では勉強会が流行っているらしい
  • Tech Meeting という名前は『弾言』からパクった
  • 政界では勉強会が盛ん→じゃあ我々も
  • 平均プログラマが年に読む技術書は平均 1 冊以下らしい
  • 「読書会形式で本を読みましょう、講師は当面私が」
  • Linux システムプログラミング』をタネ本に、1 回 1 章

QCD + R (Quality, Cost, Delivery + Risc)

  • Q……システムコールを肴に飲めるように
  • C……隔週、各回 1 時間
  • D……全 10 回
  • R……gdgd になってしまう?

勉強会を続けることに意義がある。進めながらやり方を模索しよう。

その後……

  • 1 時間じゃ足りない。2 時間は必要
  • 1 回 1 章は無理、1 回 20 ページくらいが限度
  • 上層部には意外と受けがいい
    • 「自分たちが面白いと思うものをやれ。会社にペイするかどうかは考えるな」
    • 「自分が若い頃こんな勉強会があればよかった」
    • 「このような取り組みは組織始まって以来」

よかったこと

  • 自分だけでは読む気になれない難しい内容を学べた
  • ボトムアップで始めたからモチベーションが維持できる
  • 若手だけなので気軽に質問でき、活発な議論を交わせた
  • 他の人の質問を聞く中で、自分では気づかなかったことも気づかされた

まとめ

  • 上層部は意外と好意的
  • 読書会形式が楽 (毎回テーマを選定する必要がないから)
  • まずは人集めだけを考える。障壁は少なく(来てもらうだけでいい)
  • 勇気を出して最初の一歩を!

質疑応答

  • ネタ本はどうやって選んだ?
    • Tech Meeting を構想した時にたまたま読んでいた本だった、それだけ



午後の部・セッション 2「勉強会がつなぐ世界」(司会: よしおかひろたかさん)

「IT 勉強会と行政」(shino さん)

行政を Hack せよ。

行政 Hack のツボ……世の中に対し、どう役立つか、説明できれば OK。

id:freedomcathttp://twitter.com/freedomcat

元派遣プログラマ、現専業主婦。IT 系では Wiki 界隈の動向に興味あり。

IT 系勉強会と憲法・法律

IT 勉強会は行政分野では「社会教育」「生涯学習」あたりで Hack するのが吉。

  • 日本国憲法
    • 第 23 条  学問の自由は、これを保障する。
    • 第 26 条  すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
  • 教育基本法 (※義務教育以外の人たちも対象にしている)
    • 第 1 条 (教育の目的)

      教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
    • 第 3 条 (生涯学習の理念)

      国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。
    • 第 12 条 (社会教育)

      2  国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その他の適当な方法によって社会教育の振興に努めなければならない。
  • 社会教育法
    • 第 1 条 (この法律の目的)

      この法律は、教育基本法(平成 18 年法律第 120 号)の精神に則り、社会教育に関する国及び地方公共団体の任務を明らかにすることを目的とする。
    • 第 2 条 (社会教育の定義)

      この法律で「社会教育」とは、学校教育法(昭和 22 年法律第 26 号)に基き、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体育及びレクリエーションの活動を含む。)をいう。
    • 第 5 条 (市町村の教育委員会の事務)
      市(特別区を含む。以下同じ。)町村の教育委員会は、社会教育に関し、当該地方の必要に応じ、予算の範囲内において、次の事務を行う。

      8  職業教育及び産業に関する科学技術指導のための集会の開催並びにその奨励に関すること。

      9  生活の科学化の指導のための集会の開催及びその奨励に関すること。

      10  情報化の進展に対応して情報の収集及び利用を円滑かつ適正に行うために必要な知識又は技能に関する学習の機会を提供するための講座の開設及び集会の開催並びにこれらの奨励に関すること。

IT 勉強会と行政窓口

  1. どこにどんな行政施設があって、どんな設備が借りられるか
    • 自治体体制・施設リスト(自治体配布)……利用要件・備品までは触れられていない
    • 生涯学習課の窓口に問い合わせる。備品が借りられることも
    • ネットでもリストや予約システムが出てくることもある
  2. 自分たちが勉強をする場として場所/設備を借りたい
    • 勉強会の名前・代表者を決める(代表者と申込者の二名分の情報がいることも)
    • おおまかな参加者数を見積もる
    • 地区センター、自治会館、福祉会館などの施設窓口に直接行き、手続きをする
  3. 成果を社会に奉仕・講習会をしたい

    例: アマチュア無線団体(災害時の奉仕)、IT 系は基礎的なレベルのものが多い
    • 社会教育関係団体、生涯学習団体などに登録する
      • 地域内に住居する会員数があること
      • 会則や規約があること
      • 会計がオープンであること
      • 法人・任意団体は問わないが、営利ではないこと
  4. 団体(IT勉強会)・企業・自治体で連携して地域に奉仕貢献したい
    • コミュニティ課、市民活動センター、ボランティアセンターなどの自治体窓口に相談するとよいらしい
  5. 団体(IT勉強会)・企業・自治体で連携して地域の経済・産業の活性化に貢献したい

    例: LOCAL(北海道)、島根 OSS 協議会、TCD(東北デベロッパーズコミュニティ)
    • 自治体の広報誌や年度の自治体政策方針などをよくチェックし、絡める窓口を探すとよいらしい(参考: metacon ML の投稿)

横浜へなちょこプログラミング勉強会の例: (くにますさん)

  • 東神奈川の地区センターを利用している
  • 割と予約が取れる
  • 小会議室・中会議室があるが、和室をよく使っている(お茶もある)
  • 「そんなところでできるの? プロジェクタもスクリーンもないし」と思うが、参加者からは「とても落ち着いてできる」と好評。主催者として嬉しい。場所は関係ないんだな
  • みんな楽しめれば OK かな
  • 費用は最長 4 時間で、和室 2 部屋(10畳 + 12.5畳)で 1,280 円。飲食可能なのが嬉しい

質疑応答

  • 自治体の場所を借りる際に費用の徴収は?
    • 営利目的で借りることはできない。書籍の販売に使うようなケースは不可。会費として場所代を折半する程度ならお咎めなし
    • [もじら組組長] そういう施設では電源の確保が大変。タップを持参するなど必要。ネット環境はないと思っていい。イーモバイルなどの担当者を決めておく
  • 同一企業の構成員だけで使用する場合は?
    • 商工会議所を使うと安くてお得。同業他社の人たちが集まる場合は、勤労福祉会館が使える
  • [三鷹プログラマーズカフェの岡崎さん] このような事例がほかにもあれば紹介してほしい
    • [まっちゃだいふくさん] 福岡で「AIP カフェ」というものがある
    • [よしおかさん] 地方のほうが行政と市民の距離が近い印象がある。民間の小さな会社と市役所との距離が近い。その点で、三鷹プログラマーズカフェの事例は興味深い。横展開を期待している
    • [shino さん] 自治体の施設を使用する際には、勉強会の成果や貢献を求められる。検索すると「私たちは○○で社会に貢献している」という例がたくさん見つかるので参考に
    • [まっちゃだいふくさん] TDC、島根 OSS も(行政と市民の距離が)近かった
    • [よしおかさん] 勉強会を地元でやっても、大学生は卒業すると東京に行ってしまうという話をよく聞く。自分の故郷に近い所で勉強会をやって、勉強会繋がりで地域で仕事を回すというビジネスモデルが出てくると面白いと思う
  • 大学などの教育機関との繋がりは
    • [よしおかさん] いいポイントだと思う。(会場に向かって)教育機関関係者は? ──あまり多くない。教育機関は教育がミッションなのに、我々にそういうサービスを提供しているかというと、22〜60 歳という層にはほとんどしていない(会場失笑)
    • [shino さん] 一応フォローします……
    • [よしおかさん] ちょっと待って(会場笑い)。22〜60 歳のほうが18〜22 歳より 10 倍マーケットが広いんだから、そういう層を対象にしないなんて、あんたバカぁ?(会場笑い) 勉強会カンファレンスで大学という機能を期待して議論されれば面白い気づきになるかと
    • [shino さん] 教育基本法では、通信大学に関する法整備がされている。大学図書館の利用申請をしたら、Wiki の研究ということだけであっさり認可が下りた。今、私は子供が小さいのであまり利用してはいないが。また、IT 系情報学会は一般にも門戸が開放されており、会費を払えば入会できる。「所属: Wiki ばな」という肩書きで論文に自分の名前が載ったこともある
    • [よしおかさん] 利用の禁止はされていないが、彼らがサービスを提供しているかと言えば、残念ながらそうはなっていない。Ustream で全国大会を中継していたり、YouTube で流していたりする話はあまり聞かない
    • [まっちゃだいふくさん] 大学を Hack しろという話なら、大学の研究室の一環として IT セキュリティ研究会をやってもらったり。人と人との付き合いという話にもなる
    • [会場参加者] 4 月にジオメディアサミットを立教大でやらせてもらった。学校の先生と飲み会で意気投合して「やりましょうね」という話になり、大きな教室を使わせてもらった。先生は学生をそういう場に連れて行きたいと思っている。社会と接点を持ちたいという意図もあった。Seasar カンファレンスは法政大でやっている。コミュニティと接点を持てばいい。オープンソース系の団体には教育機関は冷たい。昔はイノベーションは学校や企業から生まれたが、、今はオープンな勉強会やコミュニティを見てもらえるように努力することが必要
    • [よしおかさん] 今回は教育関係の人にリーチできなかった。お知り合いがいたらよろしく
    • [たかみちえさん] 自分は専門学校卒。横浜へなちょこプログラミング勉強会で学校を使えるかと先生に打診したら「前例がない」ということで、料金表が出せない、用意もしていないと言われた。そういう場所を有効に使って行けば学生さんも気にしてくれるかもしれないので、こちら側から働きかけないといけない。学校も現状で満足しているという一面もある。少子化という問題もあるかもしれないが、現状で満足しているので上を見ていない。こちらから積極的にアクセスを
    • [会場参加者] 日本電子専門学校の学生です。オープンソースカンファレンスの会場などで協力していて、学生でも実感しやすい。学生は上を見ていて、現状に満足していない面がある。一方、情報の得方が分からない学生がけっこういる。先生にもハッカータイプの人と、おじいさんタイプの人の 2 とおりがある。一部の学生やそういった(前者の)先生が頑張っているが、まだまだそういう学生が少ない。自分の周囲から広げてゆこうと考えているが、引き込むにはどうしたらいいと思うか
    • [shino さん] それをみんなで考えている場として metacon が機能してもいい。学生はそういう存在を知らないのでは。自分から情報を取りに行かない。社会に出ると欲求が強くなり、自分で動くようになる。ちょこちょこと情報を置いておくのが大事
    • [よしおかさん] 「馬を水辺まで無理やり連れて行くことはできるが、むりやり水を飲ませることはできない」という話。勉強会カンファレンスは未来に発見されるんですよ、若い人に。だからやっているんです。我々は 3 年先、5 年先に行っている。その繰り返しだ。今回の反省点として、教育機関にリーチしていなかったと気づいたので、私は半径 5 メートル以内の大学の先生に話をする。ここの 100 人の皆さんも、そういうことをする。例えば、自分の子供が高校 1 年生で進路を悩んでいたら、話をする時に「例えば、こういう勉強会があるよ」と勧めてみる。そういうことをすれば、間違いなく変わる
    • [@IT 自分戦略研究所のミネさん] まっちゃだいふくさんに協力していただいて「IT 就職ラボ」という企画をしている。皆さんもぜひ身近な学生さんに紹介していただきたい。「こんな企画を」という情報もください
  • [桐蔭横浜大学・やまぐちさん] 来週月曜日、「勉強会について」という特別講演をやる。私からも少しずつでもそういう活動をさせてもらえればと思っている。公共機関に書類を出す時、苦労をした。こういうキーワードがあると通りやすいというものがあれば教えてほしい
    • [shino さん] そういうレベルで公共機関を利用したことはない。自学自習の目的で借りることがメインなので、先ほど説明した程度の内容で通った。地道に窓口を探すのがひとつ。同じ窓口でも人によって出してくれる情報が違う。よい人と巡り合うのは運だと思う
  • [たかみちえさん] 学校を説得するには、という件。学校の先生に話したら手応えがあるかな、と思ったのは、「聴衆に高校生がいること」
    • [よしおかさん] 相手にとって利益があることを提案できるか、ということ。勉強会の価値を我々は提案できていない。相手のメリットを説明できれば、大学だろうが専門学校だろうが「やりましょう、一緒に」という話になるが、内向きの言葉しか持っていないのが我々の問題だ。
  • [shino さん] 30 代、40 代の女性は、IT リテラシーは千差万別。幼稚園のお母さんで名簿を作る時、メアドの @ の直前に . があって、「このアドレス、RFC 的にどうよ」と本人の目の前で言ってしまったこともある(会場爆笑)。IT リテラシーの差が大き過ぎるが、10 年後には格差が縮小している期待がある


ビアバッシュ・二次会で耳にした話、雑感ほか

あとは簡単な箇条書きでお茶を濁します。

  • はなずきんさんに、勉強会参加で家を空けるときにご主人をどう説得するかをお聞きしたところ、「理解できなくても毎回話す。『今日は○○勉強会で××さんに会うから』のように。毎回話していれば、理解できなくても何となく分かってくれるようになる」とのことだった。兼業主夫として興味深いお話をありがとうございました。
  • 横須賀市勤務のある方(了解を取っていないので名は伏せます)に、「東京は勉強会がたくさんあっていいですね」と水を向けると、平日に横須賀から 23 区内の勉強会に行くのは難しいと言われ、意外だった。でも考えてみれば、横須賀から都心までは 1 時間前後かかるわけで、時間帯によっては間に合わないこともあるわけだ。運営に関われば半日潰れる、とも言われた。神奈川県でもこうなのだから、地方の勉強会運営に関するノウハウはもっと集めて公開したほうがいいと思った。
  • 都内や京都の勉強会に長野からの参加者がいたという話を複数の人から聞いた。長野は地方にしては IT 技術者が多いのだろうか。「群馬よりも長野からの参加者のほうが多い」という証言も。
  • 20 人以上が参加した二次会のじゃんけん大会で、たった 2 回のじゃんけんで優勝してしまい、Oracle の分厚いガラスの置き物をいただいた。どこに飾ろう。

    Oracle のガラスオブジェ

最後になりますが、会場を提供してくださった日本オラクルの皆さん、このカンファレンスを開催・運営されたよしおかさんを始めとするみなさんに感謝いたします。どうもありがとうございました。

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