栢野克己氏 経営セミナー@長野市 私的不完全講演録
去る 7 月 9 日(木)、起業家向け勉強会・交流会「九州ベンチャー大学」を主催する、株式会社インタークロスの栢野克己氏のセミナーが長野市にて開かれました(→告知ページ)。当日の講演録をここに公開します。
過去に公開したいくつかの「私的不完全議事録」同様、発言のすべてを拾っているわけではありません。また、言い回しは完全には再現していません。もし内容の明らかな誤りや誤字脱字、誤変換などにお気づきの方は、コメント欄もしくはブックマークコメントにて指摘していただければ幸いです。
最初は自己紹介から
- 私は年間講演 100 回の講演屋。クライアントは中小・零細・自営業。
- 『それゆけ小学生! ボクたちの世界一周』初版 3 千部、韓国語版 1 万部。
- 著書計 4 冊で 15 万部。そのうち『小さな会社・儲けのルール』が 10 万部。
家族 4 人で世界一周旅行に出た話
- 印税 1 千万を軍資金に世界一周旅行に出た。奥様がバックパッカーだった。なかなかよかった。皆さんも一度行ったほうがいいっすよ(会場笑い)。
- 自営業はプレイングマネージャーで忙しく、読書の時間やセミナー出席の時間がない。朝から晩まで自分のことで精一杯なので、こういう会に来るのはいいことだ。
- 海外を回って、日本はいい国だと実感した。
- 新興国のパワー、特にアジアはすごい。
- 日本は 10 年、20 年前の全共闘世代が今の日本を作ってきた。これからは新興国の人たちが国を作っていく。
- 日本人は正直で嘘をつかない、真面目。これが強みだ。新興国は、中には嘘をつかない人もいるが、平均的には騙してくる。
- アメリカの商売は、言葉巧みに人をその気にさせて売りつけ、ハイさよなら、という「スポットセールス」。アメリカは国土が広いので、騙してもほかの土地で同じことができるが、土地の狭い日本ではスポットセールスはうまく行かない。
- 世界は騙しが標準なので、日本はすごいと個人的に思う。これは海外に出てからの発見だ。
栢野氏の仕事
- 「九州ベンチャー大学」が自分の商売のネタ元。
- 17 年前に実家が 1 億円の保証人になった。これが「ベンチャー大学」を始めたきっかけ。
- 当時所有していた 5 億の不動産を売っても、たったの 8700 万にしかならなかった。まだ 1300 万円足りない。
- 当時、自分は福岡で 7 社目のサラリーマンになったばかりだった(ちなみに船井総研の船井幸男氏も起業に 1 回失敗している)。おまけにまだ 5 千万の借金があった。
- その会社では出世できない雰囲気もあり、このままでは借金を完済できそうにない。もう一度独立しようと思った。
- そこで、成功している先輩の話を聞こう、という勉強会を発足した。
- 千回くらいの勉強会をやって、8 社目の独立を果たす。
- 「自分は実業家としてどうもダメだな」と感じていたが、どう生きればいいか分からなかった。そんなときに経営コンサルタントの竹田陽一に出会う。
- 銀行員曰く、銀行は士業にはお金を貸すが、歯医者は要注意業種。もうすぐ税理士あたりも貸せなくなる?
- 税理士が多過ぎて食えないので、群馬ではここ 5 年ほど独立する税理士がいない。(suno 注: 栢野氏は最近群馬県での活動が多い)
- 税理士は能力ないもんね〜(会場笑い)。経営の話なんてほとんど知らない。計算だけの計算代行屋さんだ。
- 税理士が価格競争に陥っている。「3 万? じゃあウチは 2 万 5 千でいいよ」。
- コンサル系は外から見て良し悪しがよく分からない。詐欺師も多いし。中小企業診断士も。自分を診断できない診断士(会場笑い)。
- みなさん、仕事で困ったときに相談する人はいますか? いないでしょう? (会場に向かって)税理士に相談できる? (会場の参加者「できない。モノの売り方なんて相談できない」)
- 自分で勉強会を主催するといい。成功哲学系、経営戦略系、感謝系……。喜ばれる。
- 自分も最初は居酒屋で、3 人でやった。
- 講師として来てほしい人に「ノーギャラですが、来てくださいよ」と声を掛けると、案外「いいよ」と言ってくれるもんだ。
- 最初はノーギャラで来てもらっていたが、そのうち足代程度に 5 千円、1 万円くらい渡すようにはなった。
- 自分は事例講演家。ランチェスター戦略と成功哲学、それに加えて事例を話す。
- 自分は実業家としては成功しなかったが、事例家としては食えるようになった。
- 弱者の戦略としてのブログを「百式」の田口氏に教わった。
- 意識して 1 位を取ろうと、楽天ブログを毎日更新していた。すると 2002〜2003 年頃、楽天で 1 位になれた。
- この職種(コンサルティング)は出し惜しみする人が多い。
- 自分は講演料、DVD 販売などで年間の粗利が 2 千万ある。
- YouTube を見て気に入ったら DVD を買ってね、という戦略で、YouTube に 200 本の動画を上げている。SEO 対策としてタグを編集しているので、「『経営戦略』などのキーワードで検索すると栢野の動画しか出て来ない」と一部で嫌われている(会場笑い)。
- 中には有料 DVD を丸々 1 本、10 分単位に分割して出しているものもある(2 本くらい?)。
- 自分はこの業種では情報をよく出すので人気が出ている。あとは定期的にケンカしてるから。内容証明配達はよく来る。今度法廷に立つことになった。一度法廷に立ってみたかった(会場笑い)。でも多分 5 万円くらいで和解するだろう。
経営の話
- (会場に向かって「経営(人生)で成功するには何が必要?」と質問。「哲学」「戦略」「感謝」などといろいろな意見が出る中、「情熱」と答えた人がいて、そこから情熱の話へ)
- 江口克彦氏(松下幸之助氏の秘書を 22 年務めた PHP 研究所の人)が福岡に来て講演をしたことがある。期待せずに聞きに行ったのだが、とてもよかった。公演後に夕飯に誘ったら「原稿がある」と断られ、それならと翌朝のコーヒーに誘ったら「9 時半!」と承諾。自分は待ち伏せが得意。夜討ち朝駆けの記者みたい(会場笑い)。
- 江口氏に松下幸之助氏の成功要因を聞いたところ、(1)情熱 (2)誠意 (3)素直 とのことだった。幸之助氏は情熱、執念がすごかったらしい。「嫌いでも好きになるんだ」「年下からでも学ぶことはある」。
- 幸之助氏は聞き上手で、人の話を聞いては「あんたすごいね」とその気にさせてしゃべらせる。この手法はコーチングに通じるものがある。
- 人は、自分のことを知ってくれた人を好きになる。「魔法の質問」のマツダミヒロは、2 時間のセミナーで参加者にたくさんしゃべらせ、自分がしゃべるのは 10 分くらい。カウンセラーもそうだ。
- (引き続いて「経営(人生)で成功するには何が必要?」の質問に、会場から「目標、経営計画」の声)
- (ここでやずやの経営計画書(社外秘!)が会場に登場)社外でこれを持っているのは私だけです。
- 経営計画書は上場企業には 100% あるが、中小零細では 1% くらいしか作っていない。目標も計画もなくやっているのが大部分だ。
- 鬱のときは夢や計画なんて考えたくないが、気分が乗らないときにも乗らないなりに書くべき。
- 経営計画書を作るとき、普通は格好つけて、難しいことを書いて、誰も見ないものができあがる。やずやの経営計画書は女の子にも分かりやすいように書かれている。
- (ここで配布資料の「あなたの人生設計」の話に。下図参照。家族の名前の列には、その年における年齢を記入する)
- これ(配布資料には 2000 年 8 月に栢野氏が書いた人生設計として、2000 年〜2013 年の計画が書かれている)は 5 回目くらいの鬱のときに書いたもの。今こうやって振り返ってみると、まあだいたい合っている。
- 夢に日付を入れる。これはワタミの渡邉美樹社長をはじめとする成功哲学系の王道です。
- 書いて公言すると、周囲からの応援が現れる。何もなければ応援のしようもない。
- 自分の商材を誰に売るか、具体的に思い浮かべるくらいに絞り込む。「誰でもいい」のは大手の戦略だ。
- 戦略とは絞ること、捨てること。
- 本を出すのは強者の戦略。そこへ「本を出しています」と言えれば地方でも勝てる。自費出版でも出したほうがいい。本を出していると言えば「すごい」と言われる。
- 行動計画を作って 10 年経った。すごくいい感じで進んでいる。
- 世間のコンサルは難しいことばかり言い、数字のことばかり話すのでよくない。
- (ここで「夢のマスターリスト」(下図参照)作成・発表。栢野氏の経営計画セミナーではいつもこれをやっているとのこと)
- 経営計画セミナーは講師にとっては割に合わない。一人 1 万円取っても全体で 10 万そこそこ(あまり大人数だと成立しないから)で、いろいろなことをトータルで知っている人でないとできない(戦略系講師でないとできない)から。
- (「成功に必要なことは?」と受講者に質問。「行動、倒産・離婚・借金・夜逃げなどの挫折経験」との回答が出る)
- ロバート・キヨサキは 2 回破産、ウォルト・ディズニーも 8 回倒産している。
- (「成功に必要なことは?」の質問に、会場から「人と違うことをやる」)
- ユニクロの柳井氏と 15 年前に対談したことがある。彼のあだ名は「山川」だった。みんなが「山」と言えば自分は「川」というくらい、彼は人と同じことが嫌い。
- 人と同じことをやれば競争に巻き込まれる。人と違うことをやれば、価格競争にはならない。ドラッカーも言っている。
- (「成功に必要なことは?」の質問に、受講者から「人脈」)
- 一度は会っておかないといけない。
- (「魔法の質問」の)マツダミヒロは、ある程度のキーマンには必ず会いに行く。
- 会ってもいないのに「応援してくれ」と言われても「知らんがな、お前誰よ?」となるのは当たり前。会っていれば(ネット上の交流だけでも)、応援しようという気になる。
- (「成功に必要なことは?」の質問に、受講者から「常に学ぶ姿勢」)
- 「学ぶ」は「まねる」と同義語。
- 社会人になったら、いきなり教科書が消える。
- 自分は 7 回の会社経験で、一度も上司から教えてもらえなかった。一番多いのは「とりあえずお前行ってこい。情熱だ!」
- 唯一、リクルート社のバイト時代は成功事例の発表会や練習会のようなものがあったが、ほかは全くなかった。
- 商工会議所などがその辺の知識を体系化していないのが悪い。
- 成功に必要なことを分類すると、夢系、戦略戦術系、感謝系の 3 つになる。
- 人によっては「恨み」(このやろう、今に見てろ)を入れる。阿久悠に言わせれば、演歌は怨念を歌うものだとのことだ。
- 「夢系」の話。出掛けに鼻緒が切れたら、どう考えるか? ──「外で切れなくてよかった」と思う。ふつうは「運(縁起)が悪い」と思う。
- まずは「よかった」と思い、後から理由を考える。
- 外で切れたら? ──「よかった、コケなくて」。
- コケたら? ──「よかった、頭を打たなくて」。
- 頭を打ったら? ──「よかった、ちゃんとしゃべれる」。
- 欧米人やラテン系に比べると、日本人はマイナス思考。マスコミ系がよくない。すぐに悲観的なことを言う。
- ジンバブエなんて失業率が 95% もある。海外を見れば、たいていのことには驚かない。
- 「感謝系」がないと潰れる、潰される。ライブドアもコムスンも、そんなに悪いことをしていないのに目をつけられて潰された。
- 悪徳商法系も儲かるが、感謝系がないので潰れる。
- やずやは 10 年前に創業社長が亡くなり、マスコミに叩かれた。「これで終わりだ」と。奥さんがその新聞記事を拡大コピーして社長室の前に 7 年貼り、「今に見てろ」と自分を鼓舞した。
- 夢、戦略、感謝はよく本になるが、恨みはあまり表に出て来ない。今度このテーマで本を書こうかな(会場笑い)。
成功事例の紹介と分析
- 竹田ビジネスチャート(経営の 8 大戦略)……下図参照。
- 商品(サービス)……何を
- 地域……どこで
- 客層……だれに
- 営業……どうやって
- 顧客維持……リピーター(信者)
- 組織……人
- 財務……お金
- 時間……働き方
- 「商品はいいのに営業していない」というのはすごく多い(特に職人系の世界)。ドラッカーは「顧客の想像」と言っている。
- 配布資料、福岡市の居酒屋の手書きチラシの話。
- このチラシそのものは全然大したことはない(suno 所感ではオール手書きで、むしろ下手)のだが、配り方がすごい。会社やお店を直接回って手渡し。「居酒屋『C』です、よろしくお願いしまーす」と言って置いてくる。1 件当たり 5 秒、10 秒だが、ポスティングや折り込みより確実に効果がある。
- 配布資料、新築物件の引き渡し時のクレーム処理代行業者のチラシの話。
- J・エイブラハムの教材を使って開いている勉強会を(栢野氏が)やっているのだが、これはその勉強会に来た人がやっている商売。新築マンションや一戸建てを引き渡す際、フローリングにキズがついているとか壁紙の色が違う(気がする)といったクレームを、工務店や住宅メーカーなどに代わって対応する。社員 10 人で粗利 1 億 3 千万円。
- 弱者は大企業の反対をしないといけない。手作り・面倒・少量生産など、大企業がやりたがらないことをしないと儲からない。
- 全国的なハウスメーカーは?(と会場に質問。いくつかの有名メーカーの名前が挙がる) じゃあ、リフォームで有名な所は? ──出て来ない。リフォームは市場が小さい。その中でも、大手メーカーが馬鹿にするような仕事にチャンスがある。
- 福岡のリフォーム会社の社長(年商 20 億)にこのクレーム処理代行会社のことを聞くと、「ああ、なんか聞いたことある」程度の反応。「そんな小さい商売、やる気にならない」とも。だが、小さな会社にとってはそれがいい。
- 配布資料、広島市内の手打ちうどん屋。
- 毎日 2 時、3 時に起きて、その日に使う分だけうどんを打つ。客層は天然系(化学調味料を嫌う層)に絞っている。化学調味料を使わない(8 割位の店は使っている)ため、塩の味がするのでおいしく感じる。飲食業コンサルタントの大久保一彦が「貧乏人にはタレを飲ませろ」と言っているが、この店はその方向で成功している。
- チラシは企業を回って置いてくる。大変だが効果は抜群。
- 顧客維持について。毎週土曜日の暇な時間帯(都心部なので土日が暇)に、親子うどん教室を開催している。6 年続けている。また、お客さん(名簿 700 人)に葉書を出し始めた。具体的な効果はまだ出ていないが、やった後でやるべきだと気づいた。
- 顧客の 6 割が、週に 1 度以上来るリピーター。lifetime value (一人の顧客が一生涯で支払ってくれる金額)を考えると、5 年、10 年で何十万円落としてくれる計算になる。
- 「味もいいし、ここまでやらなくてもいいんじゃないの?」と店主に水を向けると、「広島でウチより味のよいうどん屋がこの 6 年間で潰れている。恐くて仕方ない」とのこと。
- 配布資料、福岡市内のうどん屋。
- ここは以前はダメうどん屋だった。技術はいいが、営業を全くしていなかった。そこで先の広島のうどん屋を真似し始めた。後に、広島のうどん屋店主と直接会う機会もできた。
- 顧客は、きっかけがないと店には入らない。周辺には数万人単位の潜在客がいるのに。そこでチラシを作り、広島のうどん屋を真似て会社回りを始めたら、半年で売り上げが 15% 伸びた。
- 配布資料、福岡県内の内装業者。
- 今では年商 2 億円、粗利が 6 割の会社。
- 以前は売り上げがなくて困っていたが、さりとて子供が小さくて奥さんが外へ出られない。そうなると、できるのはネットだけ。
- 家の小物をヤフオクで売り始めた。
- 夫が「使用済み下着が売れるらしい」との話を聞き、妻に使用済み下着を売るように勧め、やってみたらアッと言う間に売れた(会場笑い)。
- 下着を穿いては脱ぎ、穿いては脱ぎして使用済み下着を生産。この夫婦はウソをつかなかった。これ大事。
- 使用済み下着の売り上げはピーク時には 32 万円/月になったが、半年でやめた。だんだん顧客の要求がうるさくなってきたから。「使用済み下着と言うからには、最低でも 2 週間は穿いてもらわないと困る」とか(会場爆笑)。例えば AV でもスカトロなんていうジャンルがあって、あんなもんでよくコーフンするよなぁと個人的には思うが、それでも買う人はいる。スカトロもある意味では弱者の戦略だと思う。
- 本業の商品は「自分でできる防音対策」に絞った。商品単価が 7,980〜29,800円 程度。業者に頼めば 50 万、100 万はする分野なので、専門業者にとっては鼻で笑われるような客単価だが、儲かっている。ライバルはホームセンターかも?
- ネット販売は初めてなので、ネット専門のコンサルのもとへ通った。開業当初は本当に下手くそなサイトだったが、それでも売れた。
- 配布資料、栃木県足利市の日本料理店。
- 客層は日本料理のおばさん系。
- 宴会のお客さんにかわら版を作って送るようにしたら、リピートが増えた。
- 携帯経由の若者で週末は満席になる。その秘密は、「足利 結納」で検索すると上位に来るようにしたから。そのキーワードでヒットするページは「結納について」の説明が先で、店を売り込まない。ページ末尾に「日本料理屋で結納はいかがでしょうか。当店では『結納コース』をご用意して……」。
- 店主曰く、「田舎の人は勉強しませんから。本も読みません」。そこに目をつけた戦術。
- 足利市のタクシーもホテルも「足利はダメ、もうこの街は終わり」と口を揃えて言う。「相田みつをがいるでしょ(suno 注: 相田みつをは足利市出身)」と水を向けると、「地元で人気がないから」。それは違うだろう、足利がダメなんじゃなくてお前がダメだろう、と思う。
- 栢野氏の DVD 販売のうち、50 件に 1 件は携帯経由の注文。若い人はみんな携帯を使っている。
- 配布資料、福岡市のロゴデザイン会社。
- その会社が手がけた、福岡のアスリート専門トレーニングジムの話。福岡市は人口 140 万人の激戦区。そこで「アスリート専門」と客層を敢えて絞ったところ、成長中。
- 従来、デザイナーは奴隷だった。そこで「何でもやります」をやめて「ロゴマーク専門デザイナー」を名乗って成功した。
- エンドユーザーから見て、値段がいくらか分からない。そこで分かりやすくするため、5 万、10 万、20 万コースを作った。
- アナログとネットの双方を利用している。異業種交流会に出まくって、名刺交換した相手に葉書を出す。すると半年後に月商 100 万になった。その一部始終を楽天ブログに書く。
- ニュースレターを自分で配達(郵送ではなく)。
- お礼の葉書を出すと、30 人に 1 人から注文、もしくは紹介が来ることが分かった!
- デザイン・広告勉強会を始めた。ただし多くても 5 人くらいの小規模にしている。会の運営自体は儲からないが、勉強会参加者が将来の顧客となる。
- 参考事例: 福岡市内の店舗デザイナー。ダメな店舗デザイナーだったが、今では順番待ち。福岡市内、飲食と美容室に特化している。独立したがっている人を狙うため、封書ではなく葉書を出す(独立志向の人が、会社に届いた葉書を見て、連絡先をメモれるように)。また、開業勉強会を主催し、開業アドバイザーを名乗る(7 年目)。タダ同然でやっている。
- 配布資料、福岡市内の不動産業。
- 10 年前は夫婦 2 人で年商 750 万円だったが、今は年商 3 億円、従業員数 10 人、経常利益 4 千万円に。
- 福岡市内の繁華街 500m 四方だけを対象にしている。この区域には年間 30 億円の市場があることが分かっている。
- その区域内にある 2700 世帯のスナック・クラブのみを対象。チラシのポスティング・手渡しなど、歩くのが仕事。
- 商売は「お客の役に立つこと」。報いを求めない、親切にする。
- 商売人は、自分の顧客の役に立てないかといつも考える。
- 飲食繁盛勉強会を主催。10 年続けて、今や参加者 150 人。
- 今ではその区域内のスナック 10 軒中、9 軒がこの不動産屋の顧客に。10 年前は同業が 5 社いたが、今は自分を含めて 2 社しかいない。
- 経営計画書は 40 ページのものを作っている。毎日 1 ページずつ社員全員で唱和している。これはやずやの真似。
- 商品・地域・客層を絞って小さなナンバーワンを目指す。何かで 1 番になると、覚えてもらえる。例えば、日本で一番高い山は?(と出席者を指名。「富士山」と答える) じゃあ、二番目に高い山は?(と出席者を指名。あっさり「北岳」と答えられてしまう) ダメだよ、答えちゃ(会場笑い)。あ、そうか、ここ(長野)で聞いちゃダメか。でも普通は 2 番手は知らないよ、という話です。
- 一番の経費は、新規顧客獲得のための経費。ナンバーワンになれば口コミで商売になり、この経費が不要になる。そのためには既存客を大切にすることが大事。「信者」=「儲」だ。
- 配布資料、中古の着物がオークションで 2 億の話。
- 外国人が中古の着物の山を買って行くのを見て、追いかけて行って理由を聞いた。すると「インテリアとして飾るんだ」との答えが。
- そこで、ウェブサイトを作って売り始めた。外国語ができなくても、学生をはじめ格安で翻訳してくれる人なんていくらでもいる。今では年商 2 億円に成長した。
- 参考: 博多で売り上げ 1 億 5 千万円の居酒屋、日本は敵が多いのでアジアへの進出を考えている。
- 配布資料、姫路市郊外のパソコンスクールの事例。
- 人口 7 千人の地域でチラシを配る。
- 「同じことを 100 回聞かれても笑顔でお答えします」をモットーにしている。客層の 4 割が 60 歳以上の高齢者。
- 年商 2 億円(粗利)。無制限コース(月 1 万 3 千円)に会員が千人。
- お客さんから毎日「ありがとう」と言われる。商売が楽しくて楽しくてしょうがない。
- パソコンが並んでいるスペースより、パソコンのないスペースのほうが広い。そこで受講者たちは雑談をしている。地域のコミュニティセンターとして機能している。
- 退会率は年 2%。退会理由は、会員の死亡(会場爆笑)。
ここで時間切れとなり、懇親会会場へと移動しました。
懇親会の話ほか
市内の居酒屋に 15 名ほどが集まり、栢野氏を囲んでの懇親会が開かれました。長野県内からの参加者が多数派でしたが、東京、山梨、滋賀から駆けつけた人もいて、自己紹介のときに注目を集めていました。
栢野氏に「2 ちゃんねるに降臨しているのは本人ですか?」と質問したところ、「『ベンチャー大学の栢野』という名前で書いているのはたいてい俺だけど、最近はニセモノが出現してるみたいだね。でも読んでみると、『俺もきっとこう書くよな』っていうことを書いてる」と笑って答えてくれました。
Twitter やブログなどを見ると近づきがたい雰囲気があり、2 ちゃんねるを始めとしたネット上では毀誉褒貶相半ばする人ですが、「思ったより普通でしょ?」と屈託なく笑う、人のよさそうなオジサン(失礼!)でした。
最後に、「営業妨害レベルの詳細な講演録をブログに上げてもいいですか?」と許可を求めると「どうぞどうぞ」と快諾してくださった栢野さん、今回のセミナーのことを Twitter でつぶやいてくれた「がんばれ社長!」の武沢さんに感謝します。ありがとうございました。